[歯磨剤の効能・効果]

歯磨剤には様々な効果・効能を実現した商品があります。これらの商品には用途や目的に応じて独自のレシピが考案されており、次のような成分で構成され、歯磨剤としての効能・効果を発揮します。

効能・効果 主な成分 働き
歯垢を除去する 無水ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム 歯垢(プラーク)とは歯が汚れて状態のときにその表面ある微~淡黄色クリーム様付着物で食べ物カス以外のものです。その正体は細菌の塊で、いろんな微生物が共生して歯面を覆っています。それをバイオフィルムといます。歯垢はむし歯や歯周病の原因となるばかりではなく、口臭や歯石の沈着にもつながります。歯と歯ぐきのトラブルを防ぐには、歯垢の除去が第一。歯磨剤を使って歯と歯ぐき等ブラッシングすることで歯垢が効果的に除去でき、また口腔内に発生する歯垢の量が減ります。
むし歯を防ぐ フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム(歯質強化)、塩酸クロクヘキシジン(殺菌) むし歯とは、歯垢の中に棲む細菌が作る酸により歯が溶かされる病気です。むし歯を防ぐには、歯垢をブラッシングによって取り除くことが大切です。歯磨剤を使えば、清掃効果のある成分などの働きで歯垢の除去や付着防止などに効果があります。また、細菌の繁殖を抑制する薬効成分配合の歯磨剤や、歯の再石灰化の促進、耐酸性の向上といった働きのあるフッ化物配合の歯磨剤もあります。
歯石の沈着を防ぐ ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム 歯石とは、歯垢が唾液中のカルシウムやリンによって石灰化してできる硬い物質。歯ぐきを刺激して、腫れや出血を引き起こす原因にもなります。歯石をふせぐには、歯石の原因となる歯垢をまず取り除きます。歯磨剤を使ってブラッシングすることで、この歯垢を効果的に除去できます。また、石灰化を抑える成分によって、歯石の沈着を防ぐ歯磨剤もあります。すでにできてしまった歯石は、歯科医院で除去してもらいましょう。
歯周病(歯肉炎・歯周炎)を予防 グリチルリチン酸ジカリウム(消炎)、塩化ナトリウム(血行促進)、イソプルピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム(殺菌) 歯ぐきに炎症がおこり、最後に歯が抜けてしまうという歯周病も、歯垢や歯石の沈着が原因です。口腔内の汚れが細菌の栄養となり、細菌が増えます。そうすると歯垢がたくさん出来ます。この汚れと歯垢を除去し、口腔内を清潔にすることが重要です。歯垢の除去の作用がある一般の歯磨剤を使ってブラッシングすることは、歯周病予防の上でも効果があります。さらに、歯周病の原因となる細菌の増殖を阻害するものや発症した炎症を緩和したり、血行を促進して歯ぐきの再生を促すなどの各種薬効成分(殺菌剤、消炎剤、収れん剤、止血剤、血行促進剤など)を配合し、歯周病を予防するため歯磨剤があります。
口臭を防ぐ グリチルリチン酸ジカリウム(消炎)、塩化ナトリウム(血行促進)、イソプルピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム(殺菌)、香料(香味、清涼、爽快) 口臭の主な原因は、口の中の汚れ(歯垢、食べかす等が歯、歯ぐき、舌などに付着したもの)やむし歯、歯周病などです。このような口臭の原因となる口腔内の汚れを取り除き口中を清潔にすることで、口臭はある程度予防できます。歯磨剤にはミント(ペパーミントやスペアミントなど)をベースにした香料が配合されており、口臭を防ぐと同時に口中を爽快にします。また、歯周病に効果がある各種薬用成分は口臭を防ぐ働きもあります(上記参照)。
歯を白くする ポリエチレングリコール、ポリリン酸ナトリウム、PVP 歯磨剤を使わずに歯の清掃を続けていると、歯が黄色ないし褐色に着色してくることがあります。この汚れはカラーステインと呼ばれ、飲食物中の色素やタバコのやに等によってつくられています。歯磨剤を使ってブラッシングすることで、カラーステインを取り除き、歯本来の色を取り戻すことが出来ます。もちろん「歯を白くする」といっても漂白したりすることではありません。