お口は「災いの門」

[うっかり歯をおろそかにすると全身に影響する]

歯周病は歯を失うだけでなく、その原因である歯垢(プラーク)の中の細菌が、血液から全身を巡り、からだ中の臓器や器官に侵入し、さまざまな病気を引き起こします。

◆首・肩こり 歯周病にかかるとよく噛めず、無理なあごの動きによってバランスが悪くなり、首や肩の筋肉痛に。
◆肺炎 口の中の細菌が気管から肺に入り、肺炎の原因になります口腔内物質が食道を通らずに、誤って気道へ入ってしまい歯周病の原因菌が肺や気管支に感染して発症します。高齢者や寝たきりの方に多く見られます。お口の中の衛生状態と肺炎には深い相関性があるといわれており、お口の中を清潔に保つことがリスクの軽減につながります。そのためには、健康なときから口腔内を健康に保つことを習慣づけることが大切です。もしも、寝たきりや身体が不自由ななった場合も、家族や歯科医師・歯科衛生士の協力を得ながら口腔ケアを続けていきたいものです。
◆胃潰瘍 歯周病菌によってピロリ菌が威力を増し、胃潰瘍の原因にこのピロリ菌はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)とも呼ばれ、ヒトなどの胃に生息するらせん型の細菌です。また、単にピロリ菌と呼ばれることも多いようです。最近では検査でこのピロリ菌が検出された場合、胃がんの予防的処置として抗生物質によって除菌処置が内科、消化器科にて行われているようですが、このピロリ菌が歯周ポケット、特に4ミリ以上の歯周ポケットに多く存在すると云われています。

ということは、仮に胃がんなどの予防を目的に抗生剤で胃の中を除菌しても、お口の中を殺菌・除菌し続けなければ、ピロリ菌に再感染、結果的に胃潰瘍・胃がんの発症につながりかねない可能性が高いということになります。

◆糖尿病 歯周病菌が細胞を刺激して、インスリンの血糖調節機能に悪影響を及ぼします血糖値の高い状態が長く続くと歯周組織に炎症を起こしやすくするだけではなく、歯周病の進行を早めることが知られています。糖尿病の方は、そうでない方よりも細菌感染しやすくなったり、創傷治癒が遅くなることもよく知られています。これは、糖尿病に伴う好中球の機能低下、微小血管の障害、コラーゲンの代謝障害が歯周病の重篤度に深く関係しているのではいかという見方が高いようです。
◆心内膜炎 歯周病菌が心臓内膜に炎症を起こし、心臓発作につながります歯周病は心血管系疾患を引き起こす──1998年の米国歯周病協会による「Floss or Die(デンタルフロスか死か)」キャンペーン以来の“常識”になっていましたが、「歯周病と心疾患は関連がない」と米国心臓協会(AHA)が真っ向から異を唱えています。(2012年5月)これとは別に台湾から50歳以上の成人、2万2000人を対象に行われた追跡調査の結果が報告された。歯石/歯垢をクリーニングする頻度が高いほど、心血管系疾患の発症率が低下したという発表があったようです。

どちらも、集積したデータを統計学的な処理をして関連性を特定してるようです。白黒が付くころには死んでしまっては何にもならないので歯の健康も含めて健康管理には気をつけましょう。

◆動脈硬化 歯周病菌が血液に入ると、血管内壁が厚みを増して、動脈硬化の原因になります歯周病菌が産生する炎症性物質や毒素が血栓を作り、動脈硬化を進行させる可能性が指摘されています。
◆骨粗鬆症? 歯を支えるあごの骨を溶かす細胞が、更年期になると更に活発になって、とくに女性の骨密度を低下させます骨粗鬆症とは、骨の形成と吸収のバランスが崩れることによって骨量が減少し、骨の微細構造が脆弱化(ぜいじゃくか)する病気です。骨粗鬆症の患者さんは現在、日本で推定約1.000万人以上いると言われています。そして、その約90%が女性です。 骨粗鬆症は、女性ホルモンである「エストロゲン」が急激に減少する閉経期以降から患者数が増加します。また、最近のアメリカの調査(米国全国健康栄養調査)では、カルシウムの摂取量が少ないと歯周病になりやすいという報告がされています。骨粗鬆症やエストロゲン分泌低下、カルシウムの摂取不足が直接歯周病を引き起こすことはありませんが、歯周病を悪化させる因子であることはこのような数々の調査や研究で明らかになっています。

◆◆◆今のうちから・・・◆◆◆

骨粗鬆症と歯周病の予防に関与するカルシウムを積極的に摂取しましょう!
カルシウム剤のみに頼るのではなく、できるだけ自然食品から摂取することが望ましいといえます。

◆◆◆めざせ!600mg◆◆◆
カルシウムの1日の理想摂取量は600mgだと言われています。また、閉経後や妊娠中・出産後には800mgの摂取が推奨されています。カルシウムを多く含む食品を毎日の食卓に取り入れることをおススメいたします。

カルシウムを多く含む食品(食材100g中のカルシウム量)
乳製品
 牛乳100mg、チーズ740mg、ヨーグルト110mg
大豆製品
 豆腐100mg、がんもどき270mg、油揚げ300mg
魚介類
 いわし100mg、さんま80mg、ひじき1400mg
野菜類
 小松菜290mg、かぶの葉200mg、しそ200mg